北アルプスのお向かい、頚城山塊の西端にそびえる雨飾山。
この山の魅力は豪雪が生み出す深い谷と、青々しいブナ林だと思う。
眺める場所を変えると姿を変えるのは面白い。
ここでは雨飾山を眺める4つのスポットを紹介する。
登山では、山と高原の地図 妙高・戸隠・雨飾 火打山・高妻山・信越トレイルを参考にしてほしい。
1.笹平から眺めた雨飾山

私が初めて見た雨飾山の姿がこの姿だ。
百名山の本を開いたときにこの写真が現れた。
「あまかざりやま」の音にぴったり優しい山容だ。
残雪と新緑の頃、糸魚川側の雨飾山荘から海谷鋸岳に寄り、大曲、笹平、雨飾山山頂を経由して小谷温泉に下山した山行をした。
海谷鋸岳の険しい登り、海谷鋸岳から雨飾山までのアップダウンを繰り返しながら標高を上げる長い道のり、
大曲付近の道迷い。
これらを乗り越え、この景色を見たときは「あと僅かで登りが終わる」という安心感が大きかったせいか、やはり優しい印象を持った。
2.海谷鋸岳から眺めた雨飾山

私の中の雨飾山のイメージは上で紹介した笹平から眺めた雨飾山であった。
ある日、書店の山岳写真のカレンダーを物色していると、北アルプスの山々の写真の中に海谷鋸岳から撮影した写真があった。
一目で「行ってみたい、生で見てみたい」と思った。
深い谷は迫力があり、堂々とした大きな山容が優しい印象を受けた。
雨飾山荘から雨飾山の登山口とは別方向の鋸岳の登山口から登る。
点線ルートで道は所々荒れているが道は暗い時間でもわかりやすかった。
急坂や雪渓を超えて海谷山塊と雨飾山の稜線に出る。
その頃にはヘッドライトは不要な明るさになっていた。
上信越地方の生命力あふれる森に初夏の花々が彩りが加わり美しい。
鋸岳の山頂に近づくと、道が険しくなる。
頼りないロープが崩れやすい崖にかかる。
頸城山塊と北アルプスの絶景を横目で見つつ慎重に鋸岳に登頂した。
目の前に雨飾山が大迫力に見える。
やはり写真以上の素晴らしさだ。
早朝の鋸岳は雨飾山眺めるための展望台と言っていいほどだ。
残雪の白と森の緑が美しい。
雨飾山のさらに奥にはまだ残雪豊富な北アルプスが煌めく。
この景色を十分に満喫して雨飾山に向かった。
3.1290m地点〜大曲付近から眺めた雨飾山

鋸岳から雨飾山へは、コースタイム5時間の道のりだ。
歩きやすい尾根伝いの樹林帯をが続き、ギンリョウソウやイワカガミが多く癒やされる。
鋸岳と雨飾山の鞍部から登りに転じる。
アップダウンの繰り返す登りと初夏の暑さが体力を削る。
森林限界を超えると雨飾山が大きく現れた。
左手にはなだらかな金山が横たわる。
折れかけた心が少し持ち直した気がした。
大曲付近の茂倉尾根との合流地点付近で夏道が残雪で隠れていて道迷いをした。
消耗している体には道迷いは重くのしかかった。
なんとか笹平にたどり着いたときはとにかくホッとした。
4.大渚山東峰から眺めた雨飾山

初雪の頃、錦繍と初雪の雨飾山を眺めに大渚山に登った。
北陸新幹線と大糸線とバスを乗り継ぎ雨飾高原に到着した。
途中の上越妙高駅付近から妙高山と雪化粧した火打山がよく見えた。
火打山は麓から見えない山と思っていたのでテンションが上がった。
しかし、雨飾高原に着いたとき、登山靴を大糸線内に置き忘れてしまった事に気がついた。
「大渚山なら登山なしでもどうにかなる」と信じ込み、先に進んだ。
登山口の湯峠までは舗装路で、紅葉が素晴らしかった。
登山靴を忘れてしまったことを忘れてしまうぐらいに。
湯峠から登山道に入る。
歩きやすい紅葉の道を進む。
一時間ほど登ると大渚山東峰に登頂した。
そこには紅葉の海に浮かぶ雨飾山が聳えていた。
雪は溶けてしまっていたが、雨飾山の南斜面の岩肌が空の青と紅葉の赤によく映える。
雨飾山の他にも金山と戸倉山が大きく見える。
他にも妙高山や昼闇山や小黒姫や津堂岳なども見えた。
頸城山塊は好きな場所なので大満足だ。
帰りの大糸線で「海谷山塊」「高下岳」の話で盛り上がれる方と出会えたり、
無事に登山靴を回収でき良い山行になった。